黒柿孔雀杢による帯制作を手がけて5年、帯用としての材は箔状にしてあり、残りの材は板状にして保管中だ。
今月初旬、奈良の正倉院展を観てから、この材の素晴らしさを実感する。
それからと言うもの、この材の可能性を、日本の歴史に残したいとの欲求が高まって止まない。
先ずは、木工芸で無形文化財保持者の中川清司氏に「茶杓」と「扇子」を依頼した。
そして本日、駒師として活躍されている田原清秋氏にたどり着き、将棋駒の制作を依頼した。
日本人は世界に類をみない、自然美を追求できる感性を持つ民族であると確信している。
その職人技と、偶然の究極美である「黒柿孔雀杢」との出会いは、新しい日本の宝を生んでくれるに違いない。
過去から現在そして未来へと、永い日本の歴史の中で、これ程の偶然が重なり合うことは滅多にないことと
想像する。それ故、この黒柿孔雀杢を形あるものにすべき必要を強く感じて止まない。
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